歴史・科学・現代 加藤周一対談集

歴史・科学・現代 加藤周一対談集 (ちくま学芸文庫)

歴史・科学・現代 加藤周一対談集 (ちくま学芸文庫)

日本の政治と経済が大揺れに揺れている。
そんなことは歴史において何度もあった。この対談集は、三十五年前のもの。
対談に登場した人物はほとんどもういない。
丸山真男湯川秀樹渡辺一夫サルトルーー、
20世紀戦後日本の代表的知識人達だ。

対談の時、私はまだ学生。しかし、このような思索の中にはなく、紛争のあおりで遅れた専門課程の中に寸暇を惜しんでのめり込んだいた時だった。

大揺れに揺れた大学紛争がようやく落ち着きをみせ、日本は80年代高度成長の頂点へ向かい始めていた頃だ。その時に世界の歴史と科学を俯瞰した対談だ。
湯川秀樹は50代末、しかしその「芸術と科学」「具体と抽象」に対する知的広さは圧巻。
「進歩とはなにか」「西洋・中国・日本」。
丸山の、日本の土台としての思想の上に、仏教、儒教、西洋が加わったという思想史。
すべてが斬新に響いてくる。いま、日本が揺れているからこそ考えるべき基本が埋め込まれた濃密な対談集だ。
なぜ、いま、この復刻かの編集者の思いが伝わる。