思考の補助線、欲望する脳

今日は朝から終日、南海トラフの掘削の結果をめぐるサイエンスの議論で盛り上がった。
やはり一人でもんもんとデータを睨んだり、眺めたりすることと同時に、集団の力で議論し続けることは大事だ。
人は皆、見方が違うのだから。それをぶつけ合う中で新たな地平が見えてくる。

ところで、この週末に、久々に読書をした。
今、話題の茂木健一郎氏の著作を2冊読んだ。

欲望する脳 集英社新書
思考の補助線 ちくま新書
思考の補助線 (ちくま新書)
欲望する脳 (集英社新書 418G)

「わたしたちはなにもの、どこからきてどこへいくの」
ゴーギャン」の絵のタイトルのごとく、人の野望は「全てを知り尽くしたい」。
しかし、それは所詮不可能なこと。
その不可能から生まれる苦悩、感情。
それと真摯に向き合う人生。
その思考にとてつもなく人を引きつける魅力がある。
昨今、新書ブームで次から次と新刊が出る。
さらっと電車の中で読み飛ばせる薄いものから、
この茂木氏の著作のように、
「線」を引き、感想や意見を記述しながら読もうという気になる重厚なものまでピンキリだ。

この茂木氏の著作がヒットしている日本の知識社会は健全だ、と安心できる。

私はつねづね、地球科学には全てを知り尽くしたいという壮大な哲学的野望がもっと必要だと思っているが、この茂木氏の熱い思いは大変な刺激である。
世界の部分を切り取って、安堵するなかれ。
地球科学者諸君!(実は自分に向かって言っている)。