おみくじ

私は神の存在は信じてはいない。なのになぜ初詣に出かけて、手を合わせてチャリンとお賽銭を入れて、おみくじに一喜一憂するかって聞かれそうなので。
そのことに対する私の中での整合性について記しておこう。
それは、日本社会が生み出した(八百万の神を認める社会は、世界の中でもめずらしい。これは誇っていい)、いや宗教というものの偉大な知恵だからだ。
絶対に世界を支配する神の存在を信じる事は、科学を進める上で、ある時は原動力にもなり、ある時は障害にもなってきた。後者の方が多いかもしれない。
私は単純に、「検証不能なものは科学の対象となり得ない」という科学の定義を、合理的なことと受け入れているだけのことである。


しかし、宗教の果たして来た、人間のこころに安寧をもたらし社会の安定を図る、という役割は高く評価している。
これも人類の進化の上でも重要な役割だったからだ。

さて、21世紀に入ってからの最新のプチ世界史・日本史・数万年地球環境史、そして人類進化史序章。

1。20万年前アフリカ大地溝帯旧人より進化し、新人類が生まれた。優れた能力によって生存率を高めた。
2。8万年前〜5万年前、その新人類はアフリカをついに脱出した。大氷河時代の到来で森が縮小、生きていけなくなったからだ。
3。ユーラシアにわたった新人類は、またたくまに世界へ広がった。ヨーロッパへわたったものは白人へ。インド経由であるいはコーカサス経由でアジアへわたったものはアジア人へ。いずれも寒冷地適応で色が抜けた。しかし、適応の仕方に違いがあった。メラニン完全消去型適応(白人)、メラニン減少+体表面積減少型適応(平ぺったい顔のアジア人)。
4。アジア人は、北回り(ベーリング海)経由で北米へ、そして南米へ一挙に移動し、広がった。インディアン、インディオはみな我らがアジア人の仲間。
5。そして日本人の先祖(縄文人の先祖たち)たちも、この時代にこの島へやって来た。

7。約1万年前、ようやく氷河時代が終わり、世界は暖かくなった。そして、それは食料確保の安定へつながり、人口大爆発。
8。早いところで8000年前、遅いところでも5000年前には、大規模な農業が始まり、一層の人口爆発。日本でも青森の三内丸山遺跡によって、縄文時代に大規模集落と栽培が証明された。
9。農業革命の次に人口爆発を支えたもの、それは文字の発明による情報革命。それは知恵を統一し、継承し、急激に増幅させた。そして文明がはじまった。早いところで5000年前、遅くとも3000年前だ。日本では縄文後期。惜しかったね〜。文字の発明があったら、文化という地域性から抜けて文明(世界普遍であることが重要)となっていたのにね。
10。そして、文明は人口大爆発とともに、戦争と病気と餓えによる大量死と表裏だ。それを安定化させるべく大宗教がうまれた。ユダヤ教キリスト教の源)、ヒンズーと仏教、そして儒教だ。イスラム教はずっと後。日本の神道と同じ程度の歴史、ずっと後の話だ。ユダヤーキリストーイスラムとつながる一神教が現代世界戦争の種だ。
11。中国でせっかく孔子という偉大な人が、「戦争はもうやめよう、こうすれば安定するよ」と説いて回っていた2500年ほど前の中国(春秋戦国時代)から、押し出された大量の戦争難民が籾をもって、朝鮮半島から九州へ、この日本へ渡って来た。それが弥生人。彼らはせっかく発明されていた文字は持ってこなかった。昔、提灯行列までしたという紀元2600年ってのは、数字的にはこの時まで遡ってしまい、結果オーライで符合するから面白い。

神のご意向という名の下に、こころの有り様とモラルを説き、生き様を示し、社会のありようを戒めたのが、宗教の善なる根本的役割。しかし、儀式という形によって縛り付けようという都合のよい役割(支配する側から見れば善なる、支配される側からみれば悪なる役割)もあった(今もある)。

さて、その数万年、数千年の知恵が凝縮されたメッセージとして、このおみくじを見るとおもしろいね〜。

中吉「さし出ずる朝日の影もうららかに枝も鳴らさぬ千代の松が枝」

おだやかな年のはじまりだ。

(たかがおみくじで、ここまで考えるか!やりすぎ!?でも、ここにもなかなか面白いテーマがあるという初春の夢)