悼む人

悼む人

悼む人

小説はめったに読まないのであるが、
この作者のものは、
永遠の仔」「包帯クラブ」につづいて3冊目。
仕事と会議の合間に時間を盗むように読む。

8年ブリの渾身の作だけあって、重く深い人間讃歌である。
人の死と人間にこれだけ向き合う作品は、人の死への怖れ、近親の死への無念から解放し、生きる勇気を与える確実なメッセージとなっている。
私は賞によって作品の印象など左右されないひねた性格であるが、直木賞とは、確かに権威ある賞なのだと思う。
忙しいからこそ、こういうものからエネルギーを貰う事ができる。

研究論文というものも、がつがつ書くのではなく、渾身の一作に魂を注ぐべきだ、ともつくづく思う。
もっとも8年も書かないと「くびだ!」というところが多くてせちがない世の中だけれどね〜。

対談もいい。
http://bunshun.jp/itamuhito/