異常とはなにか?
- 作者: 小俣和一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: 新書
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人間が社会の中で生きて行く時に、必ずぶつかることが正常と異常。
人が人と自然と接することを避けられない以上、必ず直面することだ。
社会には必ず異常とレッテルを貼られる人がいる。
しかし、気がつかない内にいつのまにか異常の中に自分がいたりする。
異常とは少数のこと、正常と異常の関係は「メピウスの帯」のようなものだという。
そのメピウスの帯の上で表と裏が入れ替わる時や場、正常過剰によって異常が生まれる時に、その逆転を「メランコリー型人間(執着性格)」が担うとの指摘は、長年ナチスの精神病理を研究して来た著者ならではだ。
一見、危うい主張と誤解されそうな、戦前の特攻のような「死ぬことの価値」にも踏み込んで、正常と異常を深く掘り下げようとする著者の深い洞察に多くのものを学んだ。
次の作品、「自由と抑圧」にも期待したい。