柏山さんへ

2日前の柏山さんのコメント。ありがとうございます。帰国前にようやく返事を書く時間ができました。
返事に相当するかなりのことは昨日のAGUの感想の中にも書いたつもりですが、すこし足します。
「世界の1極」をめざす。これは、連合が法人として発足する時に将来構想を論ずる中で多いに議論されたことです。いま連合は地球惑星科学における「高い嶺と広い裾野」そして理工系学協会全体としては「知の連山」を合い言葉に共同して様々な活動の強化を図ろうとしています。この「高い嶺」とは、もちろん国際的に多くの人たちが「ここへくると科学のフロントへ接することができる。科学のフロントを多くの人たちに知らしめ、一層の前進をはかることができる」ということです。「裾野」とは、必ずしもいまフロントではないもの、しかし未来の芽を育む、あるいはフロントを支える膨大な広がりを示すものです。先に、この日本の連合の理念について、AGUの次期プレジデントと話した時に「Oh! Mount Fuji!!」とそれは共有できるとの反応をいただきました。対立的な1極ではなく、まさに国際的な「知の連山」を形成するというのが、めざすべき姿だと思っています。
「世界的で日本的」これも重要な指摘です。地球科学にはグローバルな対象と地域的な対象があります。この地域的でかつグローバルという一般性につなげることを最大限生かした研究こそ日本がリードすべき地球科学の1つです。西太平洋、東半球、海半球、などなど生かすべきキーワードは無数にあるでしょう。またグローバルではあっても日本のオリジナルな発想と手法も同様です。そのことを多重的に展開できれば、国際的に価値あるコミュニティーとなりうるということだと思います。
若者への投資、これも全く同意です。しかし、いまの連合にはそこに投資する原資がない、というのが現状です。そのことを戦略的にできるように様々なことを展開せねばなりません。それはこの前のブログに書いた通りです。会わせて若者に是非お願いしたいのは、夢を実現するためには、自ら立ちあがることが基本だと言うことです。科学者は中世の時代から[beggar」であるといわれます。「面白い!でもすぐに役に立つかどうかわからない。でもその面白さを楽しむために、ちょっと投資をしてみようか?」というところからはじまり、結果として多いに役に立ち、産業革命という大ブレークをリードしたのですね。いまでは逆転して「役に立つから投資を」ということが強すぎてしまい、私たちのように「知りたいために知りたい」という理学部的な発想は後衛です。でも50年先、100年先には間違いなく浮上するし、それなくして知の作業は枯渇するというのが歴史の検証に裏打ちされた確信ですね。
多いにbeggarであってください。でも、beggingがうまくゆかなくても恨んではいけませんね。
beggingをうまく成り立たせるためには、give and takeですね。

関係ありませんが、アメリカ社会はまさにbegging社会。1級ホテルの外もbeggarで溢れていておちおちタバコも吸ってられません。

というわけで、益々のご活躍を期待しています。
かしこ

PS.柏山さんの名を以前のblogで柏崎さんと記してしまいました。誤記をお詫びします。
本当に名前を覚えるのが昔から苦手で、人生の中で何度も失敗してきました。柏山さんには大変不快なことをしてしまいました。