大雪の札幌

札幌につくや大雪、吹雪だ。
この経験はなつかしい。

ここで大昔ネタ一つ。
修論だったか、卒論だったか?
年末正月も返上して大学に45日間泊まり込んで、深夜。ついに終わりが見えて来た。発表前に風呂に入りたい!
でも家は遠い。外は吹雪。電車もバスも既にない。
タクシーか?
ポケットに手を入れるも感触は冷たい小銭。
「歩くか!6km」
暗がりの両端が高い雪に覆われた道を歩き始めた。
最初は寒い。でもどんどん暖かくなる。足取りも軽くなる。
でも4kmほど過ぎた頃か、連日の睡眠不足で疲れがーー。
すすき野帰りの客を乗せたタクシーが粉雪を舞い散らせて走り去って行く。
対向車線は、すすきのへ再び客を捕まえに行くタクシーが全速力で走り去って行く。
残るのは雪を踏みしめる足音だけ。
雪は音さえも消し去り、身の回りは静寂の空間が取り囲む。
「あ〜あ。タクシー代でも落ちていないかな〜」
はく息の白さだけが狭い風景の中に舞う。
そんな時である。
「ん?なんだ?」足下の暗がりに光るものがある。
孔のあいたコイン。50円玉だ!
その先点々と、つながるコインの列!
「おおおおーー!」
そしてついにその先にお札が現れた!
千円、二千円!!
すでに道半ばを過ぎて残り2km!
タクシーに乗れるぞ!

でも貧しい心は、踏みとどまらせた。
「もったいないな〜 ひょっとしてもっと?」
「あるわきゃーないだろ!さっさとタクシー拾って帰りな」
心の葛藤は歩みを進めた。
いつしか、雪はあがり綿のような新雪の道が続いていた。
「もう下を見ず、歩いて帰ろ!」
深夜の風呂は、何やら神様に試された後の清めのようで、爽やか。

なんてことを思い出させる吹雪です。

さ、今夜は「すすきの」、ではなく、「狸小路」です。
北海道高等学校教育研究会理科の先生達と。