天智と持統

天智と持統 (講談社現代新書)

天智と持統 (講談社現代新書)

先の連休にちょっと脱線読書。
突然、なんで歴史?なんて思われるかもしれない。
もちろん、歴史は大好きで興味津々ではあるのだが、この読書の動機はそれではない。
昔習った「大化の改新」(645年)から壬申の乱(672年)を経て、本格的に「日本」が形成される過程で起こった歴史記録最初(日本書紀)の南海大地震(684)の時代背景を理解したいと思ったからだ。

政治の大動乱に追い打ちをかける自然の大災害。今回の東日本大震災は、間違いなく日本の歴史(ざくっと2000年)の中で、最大の自然災害であり、政治経済大混乱の日本丸の未来に深刻な打撃となっている。

さて最初の南海大地震は、せっかく壬申の乱に勝利した天武天皇が、歴史をまとめよと命令を発する(861年)も、病に伏してしまう(686年)直前のことだ。

この本には南海大地震のことは一切出てはこない。しかし、この時、政治の中心は、倭宮の飛鳥から天智の近江であり、地震被害は深刻であったはず。しかも、天武とその妻たる持統の出発拠点は紀伊半島の吉野なのだから、そこでも、当然地震による被害は甚大であったはず。海に面する古来の熊野の地域は津波でやられたに違いない。ひょっとすると政治の大混乱に加えて、この自然大災害が追い打ちをかけたのかもしれない、などと夢想が広がる。歴史も自然との兼ね合いで見ると全く違ったものが見えてくる。気候変動と歴史の関係は直接的に食糧難と結びつくので、最近は議論が多いが、地震津波の相災害と歴史という切り口はもっと研究されてもいいかもしれない。

それにしても、権力をめぐるドロドロはすごいね。今とたいして変わらんね。今は、殺し合いがないだけまし(ほんの100年ほど前までは盛んにやってたね)と言わなければならないが。