地球環境の変動シンポ

kimura-gaku2008-03-21


今日は、朝から題名のシンポジウムが六本木の学術会議主催でで開催された。
IPCC地球温暖化の可能性が強く示唆されているのに対して、丸山氏は寒冷化である!と指摘する。

この事柄は直接私の専門と関わらないのであるが、地球科学の世界にいるものは無関心でいられない。
私は惑星科学委員会の一員でもあり、科学的にも大変興味があり、終日参加した。

温暖化が善か悪かという価値観は、政治や経済の事柄。
どちらもそこに踏む込みすぎると、科学の目が曇る。

両論を聞きながら、「科学とは何か?」を考えた。

地質学的過去の事象は、多様な事実をつなぎ、そこにありそうな因果関係を帰納的に提案する。
仮説の構築であり、そのことだけではいわば「<風が吹けば桶屋が儲かる>的お話」である。
近年、その因果関係の仮説を物理化学の理論ベースにスーパーコンピュータによるシミュレーション(数値実験)という方法によって、「実験によって検証する」という科学の論理過程が取られる。しかし、そこにおける初期条件や境界条件を拘束する事実は不明で、結果合わせの「恣意的」過程が入り込む。

過去の事象に対する仮説の検証で重要なのは、仮説から導かれる全く新しい事実発見の予測と、ポパーの言うがごとく、反証事実の予測である。前者は、そのような事実が事前に見えている可能性がある(予定調和)ので、絶対に仮説では説明できない反証事実の提案こそ重要である。
「この事実が出たら、この仮説は成り立たないよ!」と仮説提案と同時に提案するのである。
「カラスは黒い」という仮説は1羽でも「白いカラス」がいたら否定されるのである。
温暖化、寒冷化にもそのような提案があると、このことに関心がある研究者は、どちらかかの否定に血眼になるだろうね。

連合大会でも、この議論は繰り返されるようだ。
いずれにしても地球科学こそ、地球環境問題を科学する基礎なのだとということの広い理解につながればと思う。