ルネサンス
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/03/28
- メディア: 文庫
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時差ぼけ?で朝4時半に目が覚める。
いま、社会も、コミュニティーも大学も未曾有の課題と改革の中にある。
困難で前進できず後退を余儀なくされることも多々ある。昨日の会議も、そのことが突きつけられるものであった。
このようなとき私はよく歴史から学ぶことにしている。人類の経験からくる知恵を借りない手はない。
先週の渡米前に成田の本屋で手にしたのが、文庫本となって先日発売されたばかりの塩野七生のこの本である。
行き帰りの機内で読んだ。
イタリアのルネサンスはいうまでもなく、この世界を変えた。
ルネサンスの後に科学も千5百年以上の眠りから覚め、勃興を開始した。
フィレンツェーローマーベネツイアへつながり、反動宗教改革によってついえたルネサンス。
しかし、その後の歴史においてその精神の系譜はつながり、やがて17世紀の科学のはじまりへとつながる。
そのエッセンスは
「みたい!しりたい!わかりたい!」という欲望の爆発!
そして500年続こうが、1000年続こうが、おかしいものはおかしい
という素直な疑問と反骨の発露だ。その「出る杭」が変革の原動力。
それはすべての歴史上の変革に共通している。
簡潔明瞭でわかりやすい!
ルネサンスは千年の常識に対するアンティテーゼの連鎖が爆発するのである。
日本の戦国や明治維新時あるいはその他の変革期も大変学ぶものが多いが、世界からはもっと多い。
ルネサンスは科学をするものにも、きわめて学ぶべきことが多い。
塩野七生本は実にいい。一気にストンと落ちる。
そういえば話は飛ぶが、先日のCasetFastでイタリアから3人の女性が駆けつけた。
その一人はハスキーな声が魅力的で元気なフラチェスカ。
昔アメリカでCasey共々、学会の折に西海岸巡検を案内してくれた。
当時はアメリカへ留学中の院生であった。
「今、どこにいるの?」
「ピサ」
「お!あのピサ!」
「ガリレオが落下実験をやったあの真っ白い斜塔、振り子実験をやったこれまた真っ白なカセドラルじゃないか!」
「いいな、うらやましい!」
トスカーナの丘陵地帯、アペニンの変動帯、そしてイタリアアルプス。
海底の岩盤の閉じつつある東のアドリア海と拡大する西のティレニア海。
イタリア半島はその両方の狭間にある。だから悲劇のポンペイの火山も地震もある。
私の頭の中では、専門の大地の物語と門外の人の物語が交錯していた。
そして、話は多いに弾んだ。
もう一度、ゆっくりとイタリアへいって見たい!
そしてローマ時代からつづくその地の人の歴史と、変動のつづくその大地を熟慮したいものだ。
さわやかな地中海の空気とうまい葡萄酒とともに。