地球持続学
- 作者: 武内和彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: 新書
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サステナという略語もますます流布している。
日本語に訳すと「地球持続学」という。
地球科学は深くからむはずであるが、なぜか地球科学コミュニティーではあまり関心が高いようには見えない。
地球環境問題とか温暖化問題といえば、もちろん関心は高いのであるが。
そこで「地球持続学」と訳してまでものの、サスティナビリティーの学問としての体系はどのようなものか?
推進者はどう考えているのかをきちんと知ろうと、この本を手にした。
ジュニア新書でもあり、わかり易く書いてあるだろうと期待して。
大変良くわかった!
誰でも知っているように、地球温暖化対策はもちろん焦点であるが、
目的は如何に、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会を実現するか、そのための科学と技術、政治、経済、文化の全てをいうのである。
すでに社会ではそのための大キャンペーンがなされている。
このために走り回る著者の熱意が大変良く伝わってくるし、なぜ走り回るのかという思いもよく書かれている。
最も地球を良く知っていると自負しているはずの地球科学コミュニティーはもっとこの「地球持続学」にコミットしてもよいはずなのに、なぜちょっと距離があるのであろうか?
その齟齬を考えると、科学と技術、「知りたい」と「役に立ちたい」、「基礎科学」と「応用科学」、「科学:と「真理」と「人間」、など、
知的作業をすすめる時の根本問題が横たわっていることが見えてくる。
哲学の貧困な現代、「地球持続学」をキーワードにこれらのことを考え、自らの研究の位置づけを考えてみる事をおすすめしたい。
足場がさらに更に強固になるだろう。