ノーベル物理学賞

昨夜から、日本人が受賞したノーベル賞で日本中が沸いている。随分前から噂されていた人たちがやっとという感がある。
私も昨夜は関連のネットサーフで寝不足気味だ。
今朝の新聞を見ても、当然一面トップ。


その中の論調で私も完全に賛成するのが、これで基礎科学の重要性の見直しが進んで欲しいという強い期待だ。


昨今、経済的効果を全面に立てて、「すぐに役に立つ科学」が叫ばれ続けている。
しかし、科学をする側の動機は大きく2つに分かれる。
「役に立ちたい!」に駆動された科学と、「知りたい!」に駆動された科学。
前者は工学部や農学部、医学部などの応用系と呼ばれる分野、そして後者は「理学部」系の科学である。
実はこの2つは、根はつながっている。
「役に立ちたい!」と思って科学技術の研究をすすめた結果、思わぬ新しい発見につながる。
すぐには役に立たなくとも「知りたい!」と思って研究をすすめた結果、50年後、100年後にはとんでもない技術の革命につながる。
こんなことは、科学をしている側では当たり前なのであるが、すぐに役にたたないことに対しての理解は、なかなか得られない。

「そんな飯も食えないことやっていて、どうすんの!」が普通の見方だからだ。
私も理学部にいるので、どう見てもすぐには役に立ちそうにないことに、本質的に、とてつもなく興味をそそられる。
地球をやっていると、「環境だ、防災だ、資源だエネルギーだ」と、すぐに役に立つ方向への研究の圧力はすごい。
しかし、それらも「地球ってどうして生まれて、どうやってここまで来て、これから先にどうなる?」とか、
「地球の内部はどうなっている?海はどうしてできた?大気はどうしてできた?そもそも今のところ地球にしかいない生命ってなんだ?」
という、すぐには役に立ちそうにもないことが分かってはじめて、本当に役に立つ事につながる、と思って研究を続けている。

今回のノーベル賞の受賞が、純粋に「知りたい」と思う研究への理解の広がりへつながって欲しいと願うところだ。
まずは、めでたしめでたし。
(今日の雨は冷たそうだね!)