連合ニュース発信

会員へ向けて以下のメッセージを発信しました。

> 刷新会議事業仕分け対応―批判から建設へ

           日本地球惑星科 学連合・会長 木村 学

行政刷新会議事業仕分けに対する,科学者コミュニ ティー,高等教育コミュニティーの反発がかつてない規模で巻き起こり,引 き続き来年度国家予算編 成が注視の中にあります.一方「科学・技術、高等 教育の重要性を訴えることは,単なる当事者エゴ」との見方や誤解があるの も事実です.このような中で,私たちはこれをどう受け止め,なにをなすべ きでしょうか.

まず自らの襟は正さなければならないのは当然のこ とです.研究には多くの 税金を使用しているという強い意識に基づく無駄の 排除,組織等・研究システムにおける不合理の排除,研究競争資金における 利益相反など不公平性の徹底排除,研究と教育における「基礎代謝」と「体 力強化」の仕分け,自己 ・外部評価システムの一層の高度化による研究促進 体制の確立等,自ら見直しの出来る事柄は数多くあります.今回のことが, それらを見直す重要なきっかけとなっていることには大きな意義がありま す.私たちは,ともすると自分の専門とする研究や分野の重要性・意義を「主 観的」に主張しますが,それをコミュニティー全体,さらには広い国民理解 とするための「客観化」の努力が不足していることも多くの指摘の通りで す.個人や大学,組織,コミュニティーが旺盛なアウトリーチ活動を展開する 必要があります.

これらの「自らの襟を正す」活動を土台として,国 の科学技術教育政策へ,より積極的にコミットし建設に参加することが必要 です.新政府による「国家科学技術教育戦略やそれを実行するシステム」の 提示の大幅な遅れが今回の大騒動の原因ですが,その建設に当たっては, 我々も積極的にコミットしなければなりません.第四次科学技術基本計画,総 合科学技術会議再編がどのように展開されることとなるのかは大変重要で す.また,現在日本学術会議で検討されている「日本の展望」及び「日本の展 望−地球惑星科学」は,広くコミュニティに開かれ,コミュニティを挙げて の旺盛な議論の展開に供 される必要があります.さらに,それらが着実に国 の政策に反映されることも必要です.

日本地球惑星科学連合は,地球惑星科学に関わる 様々な専門分野の48の学協会からなり,また様々な大学,研究機関,会社, 年齢,階層,そして独立した個人からなる学会です.当然,その立ち位置に よって,事態に対する多 様な見方が存在します.多様だからこそ,大いに建 設的議論を巻き起こし,その中で大局の流れを作り出して行くことが,この 学会の発展する原動力です.日本地球惑星科学連合は,日本学術会議等とも 協力し,そのために様々な機会を柔軟に設ける努力を惜しまない所存です.