瞬く間に終了のAGU

2010年、恒例のAGU大会が終わった。
とにかく3万人が毎日、人だかりになってセッションが続いた。
私は、もっぱら沈み込み帯のところにいたが、結構抜けてbusiness meetingやら今年のAGU大会のインフラ視察やらと見て回った。

今年のAGU大会の大きな特徴は、情報システムの一層の飛躍だ。
紙媒体の最小化とネット配信の最大化だ。
紙媒体として配られたのは、全体プログラムと、連日の新聞形式の当日プログラムだけ。
これは歴史的に見ると、電話帳数冊分が全参加者に配られた時代→abstractはCD-ROMとなりつつプログラムは配れた時代→CD-ROM+セッション案内印刷時代→ネット活用の完全電子化の今日
へと進化して来た。この情報インフラの整備は、参加者が聞きたい講演へ行くためのアクセスを圧倒的に便利にした。このようなインフラ整備は、科学そのものではないが、科学の情報発信と交流を最大化するためには必須だ。それを整備するのが学会という組織の最大の役割だからだ。
ネットインフラにおいても昨年から大幅に進化したのは,twitter, facebookとblog結合による逐一情報発信交流だ。昨年はなかった。
会場にもblogせい!という看板あり。

しかし、今年はバイトで専用bloggerを10名以上雇用し、連日インタビューやら取材やらで書かせたという。はじめた瞬間にアクセス件数は3000を超えたという。そういえば会場のあちこちでiphoneだ、スマートフォンを触っている人が多い。

16日にAGU presidentと president electedと懇談する機会があったが、その大改革に多いに意気があがっていた。ちなみに、日本の連合とAGUは今後具体的連携について協議を詰める予定。なにせ地球科学関連全分野を包括する学会としては、中国を除いて、日本の連合はAGU, EGUに次ぐ規模を持っており、その国際的プレゼンスの強化は今後のこの分野の行方に多いに関わるからだ。AGU側も大変積極的だ。幸いにpresident elected(次期president)のCarol Finn嬢はかつて日本の地質調査所に滞在したことがあり、私は一緒にJGRに特集号を編集したことがある。日本に知人も多い。相互に理解のあるうちに一気に交流の土台を築くのが重要と考えている。さっそく連合の国際委員会に細かい詰めの作業をお願いしたいと思う。

それから、次の写真。

これは、今回の大会へのスポンサーだ。
Titanium, Platinum, Gold, Silver, Bronze, その他、寄付の順番だ。多い方はロゴがある。これが会場のあちこちにあるのだ。大規模な寄付で運営されていることがわかる。
展示場には、これもある。

この車、知らないがエコカー?まちがいなくスポンサー。

かつてアメリカ地質学会は、日本のスバルをスポンサーに会員5%discountなどというのもやっていた。
とにかく、学会事業を国際スタンダードにしようと思うと会員や参加者向けのサービス向上は欠かせない。そのためにはやはり膨大な資金が必要だ。学会の事業の最大の目的は科学の振興であり経済的利益ではない。それを理解してもらえる人からの寄付支援なしにはできない。アメリカや欧米社会は学会への寄付行為は全て免税対象だ。連合も公益法人となればそれが可能となる。現在公益法人申請直前だ。
基金形成後の最大の受益者は未来を担う若者に厚くというのが理想だ。

いまの日本の地球惑星科学連合には、その投資すべき資金すらなく、大会運営と日常業務でかつかつである。大胆な転換を図りたいというのが夢だ。