南極大陸(2)ー研究調査船

キムタクの南極大陸ー(2)があったが、嵐でボロボロのやられる中で、仲間意識が作られて行くとの設定。
感想:ちょっと極端。これじゃ〜、船嫌いを助長してしまい、海の研究をめざす若者がビビるっかっと危惧。
というのは、これまでの人生の中で、全部足して1年以上の時間は研究船の上。
人生のほとんどを船の上で過ごす人たちに比べたら、ほとんどゼロに等しいのだが。

台風経験も幾度かあった。ビルの上から「自由落下」するような揺れも経験した。
しかし、すべての船室では、落下や転倒防止が完璧になされている。ハッチは完全に占められ、海水や雨水は一切船内に入らない。嵐は突然やってこない。徐々に強くなり、ピークを迎え、やり過ごす。
などなど。
ただ、船酔いは人によりまちまち。
私も結構弱い方で、最初はいつもフラフラ、マグロ(死んだマグロのようにごろんと横になるだけ)状態。でも、だんだんと慣れる。1週間も経つと、夜、星が揺れるようになる。そうなったらもう大丈夫だ。
だって、船の揺れは感ぜず、星や空の揺れを見て、「あ〜、揺れてるんだ」と自覚できるようにまで、船の揺れには鈍感になるということだからね。

ただ、私の場合、普段より頭はボーとするし、睡眠時間は長くなるし、集中力は落ちるけれどね。

食事は大事だね。研究船は、いずれも24時間人は交替で動くから、4回出る。それを全部食べると大変な事になる。1ヶ月、2ヶ月も乗っていると、乗る時と降りる時では別人になる。

狭い空間の閉鎖社会。ドラマでも激しく争う場面があったけれど、閉所恐怖のある人は大変だ。いつもいつも同じ顔の社会で、逃げ場のない社会だからね。でも、逆に一生の友を得られるのも特徴。だって人間が丸見えになるからね。そこはうまく描けていたな〜。だから海洋研究コミュニティーは仲間意識が強いね。南極コミュニティーもそのように見えるね。大学の先輩、後輩で多くの人が南極へ行き、極地研究所にも多いけれどね。
学生時代、南極帰りは、英雄だったね。お土産を一杯持って帰って来たね。山岳関係が多かったけれど、やっぱり探検、冒険なんだね。いまの同僚に初の女性越冬隊員だったS教授がいるね。

子供が生まれる、どうしよって場面があったね。あの心配は、実に理解できる。
私は、北極調査中に、第2子が生まれたが、どうなっているのかやきもき。しかし、今のようにインターネットどころか、電話も何もない時代。頼りは、ツツツーのモールス信号通信だけ。
私の場合は、ノルウエーに国際電話をしてもらって、それをスピッツベルゲン島のラジオ局へまた電話してもらって、ラジオ局が定時のラジオニュースでノルウエー語で配信。それを同行していただいた、太田さん(ノルウエー極地研究所に勤め永住した大先輩、日本人研究者:南極関係でもノルウエーの重要人物)の息子さんが通訳。そして女子が生まれたと知った。当時は今と違って、事前に男か女かも分からない。会えたのは1ヶ月も後の帰国後だったけれどね。会うのを楽しみに頑張れるからね。

今は、子供が生まれる予定があると、多くはそれを優先して、研究や探検をキャンセルする時代のようだね。

ってなことで、ま〜、現実との齟齬は若干あるけれど、今後、益々楽しみだね。

っと、朝刊を見ると朝日で、「ニュースがわからん!」で南極調査のことが出ていたね。
これって、「ニュースがわからん」、ではなく「ドラマがわからん!」じゃないの?