アメリカ地球科学、今後の10年計画

アメリカ地球物理学連合週刊誌EOS/新年第一号のニュース欄にNSF(全米科学財団/日本の文部科学省相当)の、この先10年のEarth Sciences重点テーマが記されている。関心の方は読む事をお勧めしたい。
(私も本文を読みたいのだが、とりあえずはこのニュースの紹介)

Emerging Earth Science Research Opprtunities at U.S. National Science Foundation by Ranfy Showstack, staff writer, Eos, vol.93, No.1, 2012, Jan 3.

NSFは、そこにからむテーマに重点投資される仕組み(優先される)であり、世界の動向にも大きな影響を与えるので重要だ。

ちなみに、地球科学関連への財政出動は、その他にもNASAUSGS、軍などもあるのだが、NSFの地球科学関連は、Geoscience Divisionで、その中はAtmospheric Sciences(大気科学), Earth Sciences(主に固体地球科学),Ocean Sciences(海洋科学)に三区分されている。

Earth Sciencesは固体地球物理や地質学など広範な範囲を包括する。
2001年にNSF Geoscience Divisionは21世紀のGeoscienceという科学戦略文書をまとめたが、今回のものは10年目の改訂にあたる。その中のEarth Sciences部分の再度のtuningということだろう。

本文は読んではいないのだが、このニュースからでも概要は分かる。AGU memberの方は多いと思うのだが、このニュースに気がついて読んだ方がどれほどいるのか分からないので、紹介しよう。

7つのハイライト
1。早期地球進化/地球の歴史と進化の物理化学過程/熱化学的内部ダイナミクスと揮発性成分分布/マントル・コアの空間分解向上。
2。断層変形過程/断層変形過程は多様な断層物質によるすべり挙動スペクトラム定量化。
3。気候、表面過程、テクトニクス、地球深部過程の相互作用/物理レベルでの環境・生命との共進化を。
4。自然と人類社会変化に対応した水理地形ー生態システム/広領域連携により沿岸環境予測(海水准上昇、気候変動、自然・人間社会擾乱応答)
5。生化学、水、炭素、栄養、地質物質の循環研究
6。鍵となる機器への重点投資/例:年代測定に関わる研究の新しいシステム構築。
7。NSF以外との連携、次世代育成プログラム。

その先に、このNSFレポートをまとめたUC Santa CruzのThron Lay 教授へのインタビューが載っている。好奇心ドリブンと「即効で社会貢献」へのバランスが大変難しかったと。全てを即効で役に立つものにという意見は強いが、それには同意できなかったと。

アメリカ社会は、科学計画、投資を決めて行く時にも、膨大な意見交換と議論の中で決めていく。日本は??ーー。