人の間

衝動買いの後の衝動読み。

今日の私は久々の文系人間。 新書三連発読書。

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別の最中で生きて来た側、しかし一方は権力の中枢まで上り詰めた側から見た対談。
深刻な日本社会に沈殿する差別の衝撃。
差別が生み出すルサンチマ(恨み)とそれを乗り越えようという人間ドラマ。
このことは現在進行形である。


マルクスは生きている (平凡社新書 461)

マルクスは生きている (平凡社新書 461)

150年前のマルクスはいかにすごかったかと描き出す。
前半の言い分でいくと自然科学者はみなマルクス信奉者になってしまう?
現実にはそんなことは全くない。
私は、この前半の中にあるところに歴史的に重大なレトリックがあったのかな?と思う。
自然への見方がマルクスから逆輸入はしない。

人間というものの<本能から来るどうしようもないココロ>に対して、見方が楽観過ぎはしないか、といつも思う。
将来の理想社会を構成する人たちのココロは、プラトン流の哲人、もしくは仏教で言う悟り人からなることになる。
そんなことは、ホモサピエンス20万年の歴史、1万年の人間の歴史から見て、人類が絶滅もしくは他の種へ進化するまで不可能に思えてならない。
いつまでも「善」と「悪」の狭間で揺れ動くのが人間だ。


和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)

和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)

この本が、一番落ち着きを醸し出してくれる。日本に住んでいて良かったと思わずにはいられなくなる。
和とは「間」それが調和を生み出し、自然に生きる人間を作り出す。さすがに俳句会随一の人だ。
久々に爽やかな読後感が残る。
最後にいいメッセージがある。あたかも上の2冊の本のように政治に社会に翻弄される世界に対して。
「過剰なナショナリズムは人々の自信から生まれるのではなく、追いつめられた人々の不安や恐怖から生まれる。熱狂的なナショナリズムの仮面をはぎとると、そこには必ず自信を喪失した人々の不安な顔がある」
本当に引き込まれ、俳句を読んでみ、詠ってみたくなる著作だ。

今日はいい読書をした。