巣立ち

台風接近のためか、涼しい風が吹く日曜日の朝、
なにやらベランダから、チ・チというちょっと甲高いリズミカルな音が聞こえる。
<え?なんだ?なんかモーターが雑音出してる?>
<いや、鳥の声だ!>
覗き込むと、

<わ!小鳥だ、まだ産毛が一杯!巣から落ちたか?>
<よかった、いま、うちの娘犬は散歩中。いたら大変。吠えて脅かしてしまうところだった>
接近

ほんとうに産毛だらけだ。
少年の時、そのような小鳥を回収し、えさをやったことを思い出す。
しかし、そーと近づくと飛び立った。
<そうか、飛べたんだ。巣立ったんだ>
少々強い風に煽られつつ、必死に羽ばたいて、眼下の学校の小学校の屋根に着地、。
ドスン!
<お、いててーー!>
動かないーーー。


すると、近くで親鳥が動き回っているのが目に入った。

(棒の上にいます)
そうか、親鳥も心配で、心配で。二羽いる。父鳥と母鳥だね。
あたりを飛び回り、ついには屋根の上へ。

(ちいさな点がひな。屋根のヘリに親がいる)
「大丈夫か〜。ついておいで」
といわんばかりに先に飛び立った。
そしてひな鳥も後を追ってとびだった。

<ふー、一安心。もう大丈夫だ>