首相の科学へのメッセージ、そして事業仕分けー大きな齟齬?

昨日、3時間に渡り、地球惑星科学連合の緊急経営企画会議が開かれた。
刷新会議事業仕分けを全て最後まで慎重に見届け、連合としてのメッセージを発する事で合意した。

議論の中での最大の合意は、この事業仕分けが実施されることによって予想される大量に発生するであろう若者任期付研究者(いわゆるポスドク)の首切り、もしくは研究者層の大幅縮小は放置できない、ということである。
それは、当事者にとってとてつもない痛みであるだけではない。
一度チャラにして仕切り直し出直す、という「コンクリートの世界」の発想を科学研究・学術の世界に持ち込むと、日本の科学は世界から大幅な遅れをもたらし、それを取り戻すにはとてつもない時間を要する、ということである。一人の研究者を育てるには、学部・大学院と9年もの時間を要するという事が念頭にあるようには見えない。少子化によって若年層が激減する日本には、もはやそのような時間は残されてはいない。

「コンクリートからひとへ」「基礎科学の振興」「人材の養成」を詠ったマニフェストと決定的に矛盾するかに見えるという事である。
そして、一度研究から離れた人材を、もう一度科学の世界へ戻すことは容易ではないということである。

資源のないこの国を、「科学と技術と教育」によって豊かな未来へとつなげるという「唯一の道」の土台が大きく揺らいでいるかに見える。

Natureの質問に答えた、以下の首相の自信に満ちたメッセージはどこへいくのであろうか?

”In response to a Nature questionnaire, Hatoyama's office pledged support for big projects: "Japan is already a top runner in some fields that require huge budgets, like particle physics," it said, "and we will actively aim to maintain that position by building world-class research bases and deepening research ties with Europe, the United States and Asian countries." The statement also said that the DPJ would take (unspecified) measures to increase the science budget. It noted that although Japan overall invests a high percentage of its gross domestic product (GDP) in research ― 3.67% in 2007 ― the percentage of government investment is low compared with investment by industry. "Cultivating researchers needs to be part of our central policies," the statement said.”