人生最大の大手術(1)ー目覚め


5月28日 入院当日病院前入り口の花

2012年6月15日は、私の人生にとっての最大の山場となった。心臓冠動脈7カ所のバイパス手術。朝開始して夕刻までかかる大手術というのだ。朝、家族と慌ただしく別れを告げ、手術台の上に。
部屋は肌寒い。しかし、それも麻酔によって直ぐに眠りの中へ。
以降のことは、一切記憶にはない。そして、午後五時ころ(?)
「木村さーん」と呼ぶ声により、意識が瞬間戻った。
酸素マスクをつけており、おまけに眼鏡がないのではっきりとは見えないのだが、妻と子供達が声をかけ、手を振っている。
「そうか、心配して待っていてくれたんだな〜」
「いまは何時?」とでも聞いたような気がする。

しかし、とてつもなく心拍が速く、息が苦しい。普段なら、深呼吸を繰り返せば徐々に落ち着く。
しかし、それが出来ない!
「これはまずい!これはまずい!」
と焦っている自分が、そこにいる。
その時、なにか、うなったであろうか?
また急速に意識の混濁の中に落ちて行った。麻酔効果なのか、痛みからの解法のために回避的、自己防衛的に取られた気絶なのか、定かではない。後者のような気がする。

そして再びの目覚めは、翌朝の午前三時頃であろうか。人生の中でこれまで経験のない、長い時間に渡る「戦い」のはじまりであった。

つづく