人生最大の大手術(3)-術後最大の山場

午後、妻と娘がやって来た。集中治療室面会は家族のみ、時間も限定的とか。
ようやく眼鏡が戻り、視界が戻る。でも相変わらず朦朧としている。娘は自らの身重を押して手術前夜から来ていたとのこと。慌ただしく帰った。
そして、そのあとのことである。手術翌日には、「ベットから上半身を離して座る」リハビリ第一弾が予定されているとのこと。全身の痛みが続いている中でのハードスケジュールだ。
少し動かすだけで激痛!
それが上半身を起こしている間にピークに達した。
私は多分「痛、たたたた」とかなんとか叫んだに違いない。
「気分が悪い?」「吐き気は?」
猛烈な吐き気が襲う。心拍は強烈に早撃ちをしている。
「血圧!」
「200を超えています!」
やりとりが聞こえる。
「○●が急に流れ込んだかもしれない」「xx投与!」
「今日は中止して様子をみよう」
心拍は落ち着いてきて、息も楽になってきた。
本当に「死ぬかと思った」とはこの時のことである。
本当に、この激痛の世界から脱却できるのであろうか?
そんな不安をぬぐい去れないまま、やはり最大の激痛からの相対的解放の安堵から、またまた眠りに落ちた。
そして、術後第一日目の集中治療室の夜がやってきた。
そこで耳に入って来た世界は、ドラマを超えた現実であった。
(つづく)