縁は奇遇・一期一会

 先日、遠い昔、高校のときの縁で年に一度の北海道岩見沢市の東京ふるさと会「東京岩見沢会」に参加させていただいた。顔を出すようになってまだ数回であるのだが、毎回、新たな出会いがあり楽しいものである。

 今回、会で講演をされたのは、北海道新聞論説委員の高山昌行氏。講演は「岐路に立つ中国と日中関係」。岩見沢出身の故原正市氏の話をされた。原正市氏は、1996年、新中国60年の発展に最も貢献した「洋財神」(豊かにしてくれた外国の神様)として、外国人専門家10人の一人に選ばれた。かの江沢民国家主席が1998年日本訪問に際し、直接感謝の意を述べられたほどの人である。私は恥ずかしながらこの話を知らなかった。


 日本も中国も米を食べる。そもそも日本に鉄と稲籾を持って大陸から弥生人が渡来したのは今から2500~2300年も前のこと。中国本土は春秋戦国時代の真っ最中だったので、弥生人は恐らく今で言う戦争避難民。日本では今や苗代を作りその後移植し田植えをするのは当たり前のことである。が、中国では稲作をはじめた縄文時代以来の数千年以上に渡って、つい最近まで種籾を直接田に撒いていたのである。


 原正市氏は、それに対して農業改良の指導を行い、「畑苗移植法」の栽培技術を伝えたのである。1972年日中国交回復以来のことである。その結果、中国の米収穫量は2倍に増えた。そのことへの国家的感謝の気持ちが「洋財神」認定であったのだ。 昨今の冷え冷えとした関係からは想像出来ない心温まる話である。そのような偉人をふるさとが輩出したことを誇りに思う。

 さて、その講演をされた高山昌行氏。高校出身は私と同窓なのであるが、履歴を拝見すると出身大学は東京大学理学部地学とある。じぇじぇじぇ!今では名前こそ変わり、他の専門とも合体し、地球惑星科学専攻となっているが、元々は同じところだ。私の今の勤務先ではないか! 講演が終わりさっそく駆けつけて自己紹介するとともに、共通の話に花が咲いた。

「同級生にどなたがおられますか」
活断層で、原子力規制委員会でもよく登場するMW氏とか、名古屋のYS氏とか」
共通の知人の昨今の動静に花が咲いた。いや〜、縁は奇遇、一期一会はこれだから楽しいのですね。人生いつまでも捨てたもんじゃない!


P.S.:当日出された北海道米キタヒカリの塩むすび。冷えた後も粘りがあり実にうまい!昔は家畜の飼料にするしかないと言われた北海道米。それがここまで進化したと実感させられた。故原正市氏に関わる心暖まる話の後だけにピッとした塩加減と共に文字通り味わい深くいただいた。