オバマブームとローマ皇帝

深刻な経済危機の中、オバマブームが世界を駆け巡っている。

アメリカの大統領を見るとき、私はいつも2000年も前に繁栄したローマ帝国と独裁者ー皇帝の関係にも似たものを感ぜざるを得ない。
ローマ帝国は間違いなく世界帝国であった(当時、中国の漢、インドは別世界ではあったが。日本はローマ帝国が終わりに近づいていた頃、ようやく卑弥呼邪馬台国でしたね)。
だからローマ皇帝は世界の支配者。独裁者ではあったが、元老院で選ばれ、初期の頃は選ばれる人が限られたが、国を支配する能力に欠けると暗殺を含めて失脚した。
時代が進むと、奴隷からでも這い上がれる護民官システムができ、護民官でも独裁者になる道を開いた。独裁と民主主義の絶妙なバランスだ。
皇帝は君臨すれども統治せずの原則。ヨーロッパ各地を侵略しても、ローマ市民権を与え、「おまえらに任した!」として帝国を拡大した。いま世界帝国たるアメリカの世界支配戦略に似る。


ローマ帝国皇帝には暗殺がつきまっといることもアメリカ大統領とダブる。
ユリウスシーザーの暗殺はあまりにも有名だ。(本当の初代皇帝はAugust(8月)の語源、アウグスツス。その前はJuly(7月),すなわちユリウスでしたね。実質的皇帝はユリウスからでしょう。アウグスツスは彼に指名されたのだから。シーザーとクレオパトラとの間に子供がいたのに。すなわち世襲ではない)


私はケネディー暗殺のショックを忘れる事ができない。
1963年11月、アメリカから発の衛星中継により、テレビの実況中継があるというので、当時北海道の田舎町で子供であった私もテレビの前にかじりついて待っていた。
しかし、その中継から流れた最初の中身が、ケネディーの暗殺を告げるものであった。古い漢字で書かれた手書きのテロップは今でも思い出す。
ケネディーは、その直前、キューバ危機を回避した大統領として、脳裏に焼き付いていた。
キューバ危機は子供心に戦争に対する恐怖が植え付けられる事件だったからだ。私がいたのは炭坑街。田舎町にもデモがあり、戦争反対の旗が舞っていた。
オバマを暗殺から守れるか、もアメリカは問われている。

世界から異様なほどの「英雄期待」を担って発足した、オバマ
彼の就任演説は聞けなかったので、今日、見てみることにしよう。
それにしても演説がうまいね。
前の大統領には、知性というものを感じられず、私の周りの知り合いのアメリカ人は異口同音、「恥ずかしい!」と言っていたが。
オバマの弁舌のさわやかさ、演説のうまさには引き込まれる。
(例は悪すぎ、一緒にはもちろんできないが、ヒットラーレーニンも民衆を熱狂させる演説は抜群であった。きっとローマ皇帝も演説のうまさは極めて重要なことであったに違いないと思う)