総合科学技術会議パブコメ滑り込み

あと10分で総合科学技術会議第四期科学技術基本計画(案)パブリックコメント締め切り、セーフ!
下記私的コメントを送付しました。10日後には文部科学省パブコメ締め切りか〜。


2020 年に目指すべき国・社会のすがた 5P
この部分は、科学と技術に対して国民に広く理解していただくために極めて重要な部分であろう。 記されていることに異論はない。しかし、2020年とは今から10年後のことである。未来は一瞬先が闇であるともいえるのであるが、一般的な感覚における未来設計とはどのような時間スケールなのであろうかと考える10年はいかにも短い。大学の学部から大学院博士課程に至る人財養成を考えると、来年度大学へ入学する学生が、どのような国と社会を夢見て勉学に励み、学位を取得した時にどのような社会が実現しているかという時間スケールでしかないからである。彼らが社会の「知的人財」として本格的に巣立った時に、日本社会には「団塊」世代が後期高齢期となり、それが最大の負担としてのしかかる。そのピンチをどのように世界を先導するチャンスとして生かされ、「未来は開かれた!」と自信が生まれなければならない。団塊世代が去った後の2030年〜40年に訪れる、本格的未来の日本社会のすがた、そこが若者にみせるべき本格的な描像であろうと思う。その長期ビジョンの中での2020年までの目標ということについて、記して欲しい。でなければ「課題解決」という重さだけがのしかかる。

2.(1)独創性・多様性に立脚した基礎研究の強化 23P
基礎研究の強化を重視することは大賛成である。2つのイノベーションイノベーションのためのプラットフォームの構築、そして科学・技術基礎体力の抜本強化に対する予算措置が適切なバランスで実施されることを強く期待する。これまでの政策における過度の選択と集中が、結果として全体的な日本の体力の弱化につながっていたことを強く反省し、再び繰り返さないことを期待する。第四期計画の失敗は、国の急速な没落へつながると緊張して注視している。 大学の基盤的経費とは何か、の定義を明確にし、のぞんで欲しい。運営交付金は最低限度を下回っていることは多くの指摘を待つまでもない。 「通説に反する挑戦的研究にも機会を与えるためーー」 この表現に違和感を覚える。トンデモ科学と完全なフロンティアな挑戦は時に微妙である。また科学とは、通説であっても検証されていない事柄も多数ある。「予想し得ない新しい発見につながる可能性のある研究も逃すことなく機会を与えるためーー」のような表現の方が適切であろう。 NSF経費との単純比較でよいかどうか。 NSF経費はPIの給与の一部、院生の給与を含むものであり、日本の科学研究費との単純比較はできない。実質研究費で比較すべきであろう。

3.科学・技術を担う人財の強化
2 専門知識を活かせる多様な人財の育成と活躍の促進

昨今のポスドク問題、すなわち公私の膨大な経費を費やして養成した学位取得者を日本社会が吸収できていない現状は、学部学生に大きな影を落とし、博士課程進学者、希望者の激減、そして日本全体で発信する研究の成果が減少していることにつながっている。この現状は極めて深刻である。これは、博士増加政策が誤りだったのではなく、その人財の受け皿作りのための政策的誘導の遅れが最大の原因と考える。その改善のためには、高度な専門判断が求められる政府・地方自治体における理系行政官、あるいは研究最前線経験済みの高等学校教員、すなわち博士取得率を高めることを政策誘導する必要がある。 また、国際場面における行政官の学位所有の有無に加えて、その短期交代による国際対応のアンバランスは顕著である。日本の行政官がいくら優れていても制度的に乗り越えられない壁がある。そのようなことから対等な国際プロジェクトの遂行が困難に直面することは日常茶飯であり、実に嘆かわしい。 この項目に記されているような多様な人財養成が必須である。欧米社会のように、学位保持者が様々な分野でのリーダーとして活躍できる知的社会の創造が重要である。

4.国際水準の研究環境の形成 32P
(2)知的基盤の整備
本計画(案)に記されていないが、日本の理工系学協会の抜本的強化のため、「学術団体法」の設定を強く求めたい。公益法人改革の中に学協会が巻き込まれ、認定がすすまない深刻な事態となっている。研究の成果を、利益を求めず、論文として世界にむかって広く公開することは最大の公益事業である。にも関わらず公益法人としての再認定は全くすすんでいない。純粋に科学と技術の情報発信と交流をすすめる学術団体に関しては、現在の公益法人法は全くなじまない。そのことは、事業仕分け対象に学術団体が1件たりとも対象となっていないことからも明らかである。欧米諸国においては、学術団体としての学会は、公益法人として認定され、税的優遇措置を受けている。そして寄付文化の中で科学とそのコミュニティーの発展のための中心的役割を果たしている。 日本の科学の発信力を高めるためには、学協会を抜本的に強化し、その学協会が世界の研究成果発信交流のためのハブとならなければならない。影響力ある国際学術ジャーナル支援も科学と技術の空洞化をさけ、世界の科学・技術のハブとなるために極めて重要である

政府研究開発投資のGDP比1%が悲願ですね。よろしくお願いします。