続く激震9/ノーベル賞受賞者、フィールズ賞受賞者声明

25日夕刻、東大理学部小柴ホールを満場の人が埋め尽くし、ホールから多数はみだし、怒りの集会が開かれた。

以下、声明。
学術および科学技術に関する「事業仕分け」によって現在進行中の科学技術政策決定手順について深く憂慮するノーベル賞受賞者フィールズ賞受賞者をはじめとするわれわれ研究者が急きょ集い、討論した結果、以下のような声明を発表することを決した。

声明
資源のない我が国が未来を持つためには、「科学技術創造立国」と「知的存在感ある国」こそが目指すべき目標でなければならない。この目標を実現するために、苦しい財政事情の中でも、学術と科学技術に対して、科学研究費補助金を始め、それなりの配慮がなされてきた。このことを私たちは、研究者に対する国民の信頼と付託として受け止め、それに応えるべく、日夜研究にうちこんでいる。

学術と科学技術は、知的創造活動であり、その創造の源泉は人である。優秀な人材を絶え間なく研究の世界に吸引し、育てながら、着実に「知」を蓄積し続けることが。「科学技術創造立国」にとって不可欠なのである。この積み上げの継続が一旦中断されると、人材が枯渇し、次なる発展を担うべき者がいないという<取り返しのつかない>事態に陥る。

現在進行中の科学技術および学術に関する「事業仕分け」と称される作業は、対象諸事業の評価において大いに問題があるばかりではなく、若者を我が国の学術・科学技術の世界から遠ざけ、あるいは海外流出を引き起こすとという深刻な結果をもたらすものであり、「科学技術創造立国」とは逆の方向を向いたものである。

学術と科学技術に対する予算編成にあたっては、このような「事業仕分け」の結論をそのまま反映させるのではなく、学術と科学技術の専門家の意見を取り入れ、大学や研究機関運営の基盤的経費や研究開発費等に関する配慮を行い、将来に禍根を残すことのないよう、強く望むものである。

平成21年11月25日
江崎玲於奈(1973ノーベル物理学賞)、利根川進(1987ノーベル生理学・医学賞)、森重文(1990フィールズ賞)、野依良治(2001ノーベル化学賞)、小林誠(2008ノーベル物理学賞)
ほか署名者一同

利根川博士、小林博士

野依博士(ぶれた!)

10分前にいっても、会場には近づけない人だかり。


やむなく、場外のテレビ中継で

その後、小柴ホールは満場のまま、午後9時まで熱気に包まれる。


最近、これほどの熱気に包まれた、人の集まる自主的集会を見た事がない。
ほとんどが学生・院生だ。
未来への憂いが、彼らを覆っている。