九州延岡衝上断層掘削開始

日付を見ると一ヶ月振りのブログ記入だね。地震後めまぐるしい日々がつづき、あっと言う間で、気がつくと大学も世間も夏休みに突入。

昨日、九州延岡にきた。延岡衝上断層の掘削による研究開始に際して、掘削を快諾いただいた地主さんをはじめ、協力いただく行政の皆様とともに安全祈願を行うためである。とんぼ帰りの予定。28日頃から本格的にコアの回収もはじまる。またとんぼ帰りで戻って来る。今年の夏は九州張り付きの予定。延岡はどんよりと曇っている。

断層掘削の科学目的は、プレート沈み込み帯で地震津波を引き起こす断層深部のメカニズム解明。そのためにかつて地下10数キロにあった断層の詳細な分析解析をすすめようというもの。すでにこの断層において、かつて地震性すべりによって断層の一部が摩擦によって融けた証拠を見つけ、論文としても公表した。また、高速すべりによる化学反応によって起こった地下深部の岩石と水の反応も明らかとなっている。かつての海溝より深部のプレート沈み込み帯にあり、そのような現象が見られるところは世界広しといえど、極めて少ない。文献と私たちが直接現地を見てきた経験によると、ほぼ間違いなくここは世界で一番の好条件にある。
といわけで断層の掘削を申請、認められたというわけである。
2005年に当地、宮崎シーガイヤで国際集会を開き、断層の見学会を実施したが多くの海外からの参加者には、当地の重要性を理解していただいた。

この研究は科学研究費により実施するのであるが、見通しのたたないのが科学研究費の当面7割支給問題。このままでは完全に赤字となり、回収したコア、データの解析分析が全くできない。でも進むしかない。